夢の終わり.08


揺れが収まってから、立ち上がろうと足に力を込める。

けれど、強い目眩にとっさに壁に手をつく。

頭に霧がかかっているようで、体も思うように動かない。

「これは何……?」

額に手を当てて、頭を支える。

『一つ、お願いを聞いてくれないか?』

思い出した温もりに、自分の唇に触れる。

あの口付けの瞬間、流し込まれたのは。

「…………」

遠のきそうになる意識を呼び止めるように、必死に唇を噛む。

行かなくては、どうしても。

あの人がこうまでして自分をあそこから遠ざけたいと願ったのだとしても。

行かなくては。

銃を手に、一歩ずつ足を進める。

部屋のドアは開け放たれたままになっていて、見張りもいなかった。

壁に縋りながら歩き出したが、少し行ったところで強い頭痛と目眩に立ち止まる。

「駄目、今……眠ったら……」

自分に言い聞かせるように呟き、血がにじむ程に唇を噛み締める。

これだけでは足りない。

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