夢の終わり.11
しなやかな強さを持つ彼女の優しさに甘えてはいけない。
想い出に残された優しさは、今も暖かく灯るけれど。
揺らがず立ち続ける為に。
いつか、彼女のように真っ直ぐに言えるように。
そうすればきっと、どんな絶望にも負ける事は無い。
あらゆる可能性に立ち向かって行ける。
もう迷う事は無い。
シードジェスエネルギーの流れが止まった。
やはり、タンクの中の排水口へと向かう流れだったようだ。
此処だけ浅瀬のようになっている。
立ち上がり、近くにあった梯子を掴む。
思うように力が入らなかったが、何とかタンクの外に出て息をつく。
普通の人間が落とされたら、ただではすまないだろう。
こんなところでこの体に助けられるとは、面白くもない不愉快な話だ。
しかし、それも悪くはないだろう。
目的の為には手段は選ばない。
それを果たす為なら、どんな利用も偽りも。
今更選んでいられる程、自分は善人でもないから。
迷う事なんて出来ない。
例えそれが、自分の過去と相対する事であっても。
目の前の光景に足を止める。
そこには病院のような雰囲気の漂う、白い部屋が広がっていた。
並ぶベッド、消毒液の匂い。
かつて、此処にいた。
もうあまり覚えてはいないけれど、確かに此処にいた。
彼女も、自分も。
覚えていない筈なのに、体は覚えている。
此処にいた感覚を。
此処に残した、自分の欠片を。
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Reservoir Amulet