プリズム.03


この場所に残した欠片を、この手で掴んで。

白い部屋に並ぶベッドには、今も人が眠っていた。

哀れな被験者。

シードジェスエネルギーの研究の為、此処に集められた者達。

そう、かつて此処にいた。

彼女も自分も、この閉ざされた場所に。

共に、此処であの苦しみを経験した。

側にあったベッドの傍らに置いてあるファイルをめくる。

そこには日々の実験の結果が書いてあった。

延々と続く、文字の羅列。

音を立ててファイルを閉じ、自分の額に手を当てる。

狂っている、本当に。

人の命を何だと思っているのか。

知っていながらこれまで何も出来なかった、自分が言える事ではないけれど。

『貴方はずっと、ずっと一人で戦い続けて来たんですね』

「……っ、マイヤ?」

激しく頭が痛んだ。

懐かしい声が聞こえる。

『私はいつも、貴方の味方でいます』

『貴方も私も、今はもう一人ではありません。だから、一人では不可能な事も可能になるでしょう。人の力は強いものですから』

不意に違う景色が広がった。

霧が晴れるように思い出す。

今いるのと同じ部屋。

しかし並んでいるベッドの数は今より少ない。

都市庁の職員の手で、何度も此処へ連れて来られた。

何とも言えない哀しい瞳で見詰めていた両親がいて。

そして、日々感じる痛みからは逃れる事が出来なくて。

そんな時、一人の少女と出会った。









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