プリズム.08


すると、都市庁の研究員達らしい声が聞こえて来た。

「さすが、血を分けた子供だけの事はある。他の被験者とは比較にならない」

これは譲刃猛の声だ。

「この分ならシードジェスエネルギーの完成など待たなくとも、すぐに使えそうではないか?デュラン、シベン」

「何を言うんです。未完成のエネルギーは安易に使うべきではない。どんな影響が出るか分からないのですから。その為の研究だった筈です」

「マイヤちゃんもシズマも……。日々苦しみに耐えています。それはあくまで、シードジェスエネルギーを完全に完成させる為。違いますか?」

話を聞きながら、間近にある少女の横顔を見詰める。

この少女は、まさか。

視線に気付いたのか、少女がドアから離れてこちらを真っ直ぐに見た。

「いつか完成すると思いますか?新しいエネルギーが」

「それは……」

「こんな苦しみが続く中、信じる事が出来ますか?救いを、希望を」

少女の瞳は大きく強く、深い色をたたえていた。

「それとも、この絶望の闇から逃れる事は出来ないと諦めますか?戦い続ける事を」

いつ終えるとも分からない戦いは恐ろしい。

諦めてしまった方が楽だと思う程に。

「この世界は悪夢ばかり生むと、その手を伸ばす事を止めますか?」

全てを見透かすような瞳に、自分の弱さも汚さも見通されているようで。

適当な言い逃れを許さない。

思い出すのが怖い程、少女の瞳は強い。

ぬるい、気休めの慰めは与えてくれない。

だからもう一度、見詰め直すしかない。

捕らわれた絶望を。

飲み込まれてしまうような、暗闇を。

傷付いた瞳で。









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