プリズム.09


返されるのは、嘲笑。

「……信じるだと?今更何を言うんだ」

「シズマさんが……」

微笑んで続ける。

「シズマさんが、どんな暗闇にも捕らわれ続ける事無く戦うと選んだからです。そんなあの人だから、私は信じるんです」

「下らない事を言うな。君が今更何を言う。シズマを絶望に落とす為に戻って来た君が」

「言い訳はしません。けれど私は」

春日舞夜として戻って来た時から、今も。

本当は、もっとずっと前から。

「私は、あの人を」

何処か寂しげな瞳のあの人を。

いつもどんなに離れても、あの人だけを。

「もう何にも捕らわれてほしくない。傷付ける、全てのものから、守りたいと……」

止まらない。

ざわざわと胸を揺らす想いは溢れて。

止められない。

熱い涙となって瞳から零れる。

「都市庁にも、此処に眠る過去にも、私にも縛られてほしくない……!」

あの人を縛る、全てのものから。

もっと遠く、広い場所へ。

何処までも見下ろす広さより、更に遠く続く場所へ。

『お前みたいな娘は、俺なんか気にするな』

『……一つ、お願いを聞いてくれないか?』

遠くへ。

「……っ」

涙が頬を伝い、光りながら床へと落ちる。

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