プリズム.10


「マイヤさん、君は」

見詰めていた司が、何かに気付いたように呟く。

願いは一つだけ。

何処までも遠くへ。

私なんて忘れていいから、幸せに生きて。

いつも貴方を傷付けて来た私を、裏切った私を、憎んで忘れていい。

私のことで貴方が苦しむ必要なんて無いから。

貴方は全てから解放されて、自由に。

それはどんな小細工も必要としない、限り無く純粋な想い。

全てを投げ捨てた後に残る、たった一つ光る大切なもの。

だからこそ、見る者の胸を打つ。

どんな鋭い刃よりも強く深く貫き通す。

目を離せなくなる程に。

「……シズマさんのことが、大切だから」

大好きだから。

ざわめく想いは止まらない。

止まらない。

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