愛の静寂.06


「この声が聞こえますか」

静かにマイヤが口を開く。

「これはシズマさんの声です。私がずっと聞きたかった声です」

続く声は力強く胸に響く。

ずっと待っていた。

願っていた、この声を。

この声が理想を、志を高らかに語るのを。

ずっと待ち続けていた。

「シズマさんがこの場所に眠る絶望にも負けず、戦う事を選びました」

暗闇に捕われず、確かな光を見付けた。

そうでなければ、こんな風には語れない。

まるで誰かに訴えるような、強さを秘めた声。

本当は。

そんな考えを振り切って、司に微笑みかける。

「賭けの結果は出ましたね……」

マイヤの体がよろめき、落ちた銃が床に当たってやけに大きな音を立てた。

意識を失ったマイヤを支え、司が呟く。

「本当に愚かだね、マイヤさん。あまりにも愚か過ぎて、眩しいと思ってしまう程に……」

息をついて、マイヤが一度もポケットから出そうとしなかった左手をそっと出して開かせる。

顔をしかめ、ガラスの破片を血の滲む手から取り除く。

この痛みで、霞む意識を繋ぎ止めていたのか。

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