愛の静寂.07
それ程に、大切なのか。
ハンカチを取り出してマイヤの左の手のひらに当て、ネクタイで縛る。
「君もシズマも、何かを信じて何処までも真っ直ぐなのは惨めに愚かだと、どうして分からないんだ」
絶望も悲しみも痛い程知っているのに。
それでも尚。
彼等は破壊の為ではなく、救いの為に此処へ来たのか。
例え目的は同じでも、進む道は違う。
だから二度と交わる事は無いと思っていたけれど。
そんな奇跡も起こるのだろうか。
起こると信じられるだろうか、この自分に。
息をついて、そっとマイヤの手を放す。
「……これ以上、私を惑わせるな」
どうかしている、本当に。
此処に来て彼等が勝つ事を、何処かで願う自分がいるなど。
「まだ結果は出ていない。まだ君が買った訳ではない」
自分に言い聞かせるように呟く。
続く声とマイヤの寝顔に目を伏せる。
どうかしている、本当に。
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