愛の静寂.09


その時マイヤが息を吐き出し、ゆっくりと目を開けた。

「シズマさん……?」

「ああ。気分はどうだ?」

この場所には至る所に想い出が眠っていて。

そこに貴方もいるから。

だから今貴方が微笑んでいてくれる事が、嬉しくて切ない。

「シズマさん、ごめんなさい。私……」

「謝るな」

体を起こしながら口を開くのを遮る。

「謝るなよ。お前は何も悪い事なんてしてない。謝るのは、俺の方だろ」

「でも私は、貴方に嘘を」

「いいから、黙れ」

手を伸ばし、傷付いた頬にそっと触れる。

「これまでに何があってとしても、この先何が起こるとしても、これだけは確かだ。お前が俺の救いだという事は」

眩いばかりに自分の行く道を照らす光。

いつかこの手で、その微笑みを守れるような存在になれるだろうか。

もしも許されるのならば。

「……本当ですか?」

しばらくして、囁くようにマイヤが尋ねる。

「ああ。俺の言う事なんか信用出来ないかもしれないが、お前は昔からずっと俺に優しい夢を見せてくれた」

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