愛の静寂.13


「本当は、真実を知った俺を消したかっただろうな。だが創始者の息子であるという理由で消されはしなかった。処分を受けて、常に監視の目が光るようになっただけだ。俺は憎んだ。あんなものの為に、両親は研究していたのかと。その両親の名故に、俺は殺されもせず生きて行かなくてはならないのかと」

あんな絶望を知って尚、生きて行かなくてはならないのか。

あんな真実を受け入れろと言うのか。

「……死にたかったんですか?」

「今思えば、逃げたかったんだろうな。何も出来ない自分の無力さに背を向けて」

淡々と紡がれる言葉、けれど。

見上げた瞳が、言葉とは裏腹につらそうに揺れるから。

胸が痛い位に、悲しさを叫んでいるようで。

ひたすらに自分を責める言葉の一つ一つが、棘のように痛くて。

「これは罪だ。知っていて何もしなかった。結果として都市庁のやっていた事を許した。これは消せない罪だ」

「シズマさんは、ずっとそうして責め続けて来たんですね」

ずっと一人で。

戦い続けて来た彼が明かした。

長い長い懺悔。

「ずっと一人で、戦い続けて来たんですね」

「いや、そうじゃない。俺は、一人じゃなかった」

穏やかな瞳が、真っ直ぐに見詰める。

「何もしなかった。そんな罪人の俺の前に、ある日お前が現れた」

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