愛の静寂.15


手を伸ばし、涙を拭うようにそっとシズマの頬に触れる。

今誰より泣きたいのはこの人の筈なのに、どうして自分が泣いているのだろう。

「……大丈夫ですよ」

伝えたい想いは沢山あるけれど、口から出て来たのはそんなありふれた言葉だけだった。

貴方が望むなら、いつでもいつまでも。

「大丈夫ですよ。側にいますから……」

自分だけじゃなくて。

誰でも皆、貴方に惹かれて集うから。

苦しみも悲しみも分け合える。

貴方は、孤独じゃない。

「……有り難う」

微笑んでくれた。

頬に添えた手を、シズマの手が包み込む。

「じゃあ、一緒に来てくれるか。最後まで」

「はい、勿論です」

「では、私は此処で待っていよう」

様子を見ていた司が口を開いた。

「後は任せる。二人で行って来ると良い」

「分かった。何かあった時には対処を頼む」

「ああ」

司が頷くのを確認し、手を繋いで歩き出す。

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