機械.03
「精神力……」
壁に背を預け、目を伏せて司が呟く。
この都市の要となる機械に欠かせないもの。
それは人間の心から生まれる、目には見えない力。
しかし見えずとも無限の力を、シードジェスエネルギーに変換する。
その為には、人間と機械が繋がった状態でいなくてはならない。
そしてその人間は、ずっとそこから動けない。
だからシードジェスエネルギーは未だ未完成で、研究者も使う事に最後まで反対していたのだ。
完全に完成させる為、強い精神力を持つ人を調べる研究が必要だった。
だが譲刃猛は、その研究を新たな部品を生み出す工場としてしまった。
近年この都市が不安定だったのは、機械の中心で今もエネルギーを変換し続けている人が限界に近かったからだ。
深く目を閉じて息をつく。
猛の計画では、次に此処に入るのはシズマとマイヤだった。
けれどその計画を察した二人の親が命がけで自分の子供達を逃がした。
そして。
愚かだ、限り無く。
まともな人間の考える事ではない。
四年前にマイヤが破壊したのは、機械に付いているシャッターの外側だったから、何とかこの真実を隠し通す事は出来た。
それでも、今まで真実に近付いた者が幾人も犠牲になった。
どうか、それももう終わりになるよう。
激しく揺れる足元に視線を落とし、それから高い天井を見詰める。
「どうか、希望を」
自分などに願えた事ではないが、それでも祈らずにはいられないから。
どうか、希望を。
自分とは違う道で、違うやり方で絶望を終わらせる事を決めた二人に希望を。
全て終わらせた後にも、どうか二人に変わらぬ微笑みがあるように。
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