機械.05


静かな口調で、眠るシンシアに語り掛ける。

「シズマさんがいるから、私は生きていられるから。生んでくれた事、嬉しいです」

視線を動かして、自分の母親にも言う。

「お母さん、私を生んでくれて有り難う。大切な人が、人達が、私にはいてくれるから。この世界に、私は生まれて良かった」

あたたかな想いは、重ねた手を通して全身を駆け巡る。

本当に、こんな事を言ってくれる人に出会えた自分は、なんて幸せだろうか。

幾度も幾度も傷付けて、つらい思いをさせたのに、それでも。

それでも側に、手を繋いでいられる程近くで。

自分がいるから生きていられるなんて、嘘偽りの無い瞳で。

以前ならそんな感情は下さらないと傷付けたかもしれないけれど、今は違う。

こんなにも嬉しくて。

こんなにも満たされて。

言葉の一つ一つが、暖かな眼差しが。

『貴方がいるだけで私は嬉しくて、満たされて』

ああ、これが。

以前のマイヤの、自分には理解出来ない言葉の意味が、やっと見えた。

心の中で、そっと告げる。

(生んでくれて有り難う……)

一度は憎んだけれど、今では心からそう思えるから。

届いてほしい。

どうかどうか。








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