機械.15


急ぎ過ぎた。

故に沢山のものを犠牲にして。

守るべきもの、残すべきものを見失ってしまった。

だから、これからは。

優しいやり方で、少しづつ手探りでも。

守り、育んで行きたい。

この世界は、美しいものが数多くあるのだから。

「……そうですね」

マイヤは胸に暖かなものが満ちて来るのを感じて目を閉じた。

今のシズマの言葉で、はっきりと分かった。

自分達の両親の意志は、受け継がれている。

だから、もう大丈夫だ。

シズマは、もう迷わないだろう。

彼の言う優しいやり方を貫いて、研究を続けるだろう。

消えない。

人の想いは、やがて消えて行く定めより強く。

残って行くのだ。

人の心に、世界の上に。

シズマはマイヤの横顔を見詰め、それから司に向かって言う。

「もう都市は必要無いんだ。あんな閉ざされた場所じゃなくて、もっと広く風が吹き抜けて日が当たる……。そんな穏やかな場所が似合うからな」

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