風の示す場所へ.15
車を降りると研究所のドアが開いて、彼女が高い階段の上に姿を見せた。
女神のようなその姿は、あまりにも綺麗で。
触れて良いのか、躊躇う程で。
けれど彼女の方から、そっと手を差し伸べてくれるから。
いつも救われて。
「改めて、これからも……宜しくな。マイヤ」
「はい」
手が合わさると、マイヤを引き寄せて抱き締めた。
海斗はカメラを構えて写真を撮り、要と司も微笑んで拍手をする。
暖かな祝福の祝福の視線に見守られる中、静かに囁く。
「初めてお前に会った時、光だと思った。きっと俺はあの時に、初めて恋に落ちたんだ」
初めて知った感情を、何と呼べば良いのか分からずに。
記憶の中に閉じ込めてしまっても、ずっと冷えた心を優しく暖めてくれていて。
ずっと胸にあった。
自分自身さえ忘れてしまっても。
「ずっといてくれたんだよな。お前は、側に」
お互い嘘をついて。
一時離れても、今はこうして一緒にいられる。
それは側にいると笑ってくれた彼女のおかげだから。
「随分遠回りしたが、あの時が無ければ俺はきっと満たされない」
全ての事に、きっと意味はあった。
どんな辛い事も、哀しい事も。
負った傷さえも受け止めて行くから。
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