狂った針が時の記憶を刻む.08
少し黙り込んでから、静真が意を決したように口を開く。
「春日、前から訊こうと思ってたんだが」
その時、突然に足元が揺れた。
「え、地震?」
「春日!」
静真は腕を伸ばして、とっさに舞夜を抱き寄せる。
そんなに大きな地震ではなかったが、本棚から飛び出したディスクが当たりに散乱した。
「ふう、驚いたな」
揺れが収まり、ほっとして息をつく。
「すみません、先生。私、助けてもらってばかりで……」
「お前のせいじゃないんだ。気にするなよ」
謝る舞夜にそう言ってから、辺りを見回して続ける。
「それにしても、最近地震が多いな」
「そうなんですか?」
「ああ」
何かを考え込むように頷いた静真を見上げる。
「先生、さっきの話ですけど」
「さっきの?」
「何か、私に聞きたい事があったのでは?」
「ああ、そうだったな。大した事じゃないんだ」
笑みを浮かべ、息を吐いて言う。
「昨日あんな事があったばかりだし、体調はどうかと思ってな」
誤魔化そうとしているのだろうか。
探るように見詰めると、鎮真は雰囲気を変えるように口を開く。
「とにかく、これを片付けないとな」
「あっ、はい。そうですね」
散らばったディスクやレポート用紙を挟んだファイルに手を伸ばし、拾い集める。
少し離れた所で同じようにしていた鎮真が、ふと手を止めた。
「お、これは結構な掘り出し物だな」
「何かあったんですか?」
「ほら、翡翠先生が高校生の頃に書いたレポートだ」
「え、本当ですか?」
舞夜が手渡されたレポート用紙の束には、表紙に確かに翡翠要の名が記してある。
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Reservoir Amulet