揺らめく海の都市.03


部屋の中には、コーヒーの香りが漂っている。

深く息を吐いて、椅子から立ち上がった。

本棚には数多くの本やファイルが並び、開いている窓から射し込む光に照らされている。

カーテンを閉めて髪をかき上げ、廊下に出るドアのノブに手を掛けて開けようとした瞬間、鈍い音がした。

続いて、ばさばさと何かが落ちるような音も聞こえる。

「……?」

少ししてから改めてドアを開けると、一人の少女が額を押さえて座り込んでいた。

辺りには少女の物らしいノートや本、レポート用紙などが散らばっている。

その状況から自分がしてしまった行為に気付き、慌てて声を掛ける。

「悪い、大丈夫か?」

「は、はい。両手がふさがっていてドアをノック出来なかったものですから。開けて頂いて助かりました」

少女は額から手を離して立ち上がった。

「本当に大丈夫か?頭に思い切りドアぶつかっただろ」

「大丈夫です。結構頑丈ですから」

そう言った少女の前髪に、手を伸ばして触れる。

「やっぱり、赤くなってるな」

「え?そうですか?」

「ああ」

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