揺らめく海の都市.04


膝をついて散らばった物を拾い集めながら尋ねる。

「で、俺の研究室に何か用か?ええと……」

少女の顔を見詰め、首をひねる。

「変だな。生徒の顔と名前は記憶してる筈なんだが」

そこで少女が、はっとしたように姿勢を正した。

「失礼しました。私、今日この学院に転入して来た春日【かすが】舞夜【まいや】と申します」

「ああ、転入生か。なら、初めましてで良いんだよな」

そう言ってから、ふと疑問が湧いた。

(……初めまして?)

その筈なのに、どうして初めて会った気がしないのだろう。

まるで、何処かで会った事があるかのような。

「先生?どうかされましたか」

声を掛けられて我に返る。

「いや、何でもない。俺は葉月【はづき】鎮真【しずま】。一応、この学院の物理の教師やってる」

集めたレポート用紙を揃えて舞夜に渡しながら続ける。

「この時期に転入なんて大変だな」

「そうでもないですよ。試験も無しで入れて頂けましたし」

その言葉に、ふと思い出した。

「もしかして、物理科に推薦で転入して来たっていう生徒か?論文が素晴らしいって、随分話題になってたが」

「大したものではありません。真似事で始めたようなものですから」

そう言ってはいるが、どの学科でもレベルが高いこの学院に推薦で入って来るのは、かなり実力があるのだろう。

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