狂った針が時の記憶を刻む.11


開け放した資料室の窓際で、鎮真は一人息を洩らした。

閉ざした筈の時に微かに触れて来る声が。

呼び掛けて来る。

時に、強く強く。

だからだろうか。

古傷が痛む。

この身に刻み込まれた傷が疼く。

熱をはらんで、体を蝕む。

「鎮真、入りますよ」

ノックの後、ドアが開く音で我に返る。

入って来た要が、鎮真の様子を見て尋ねた。

「まだ此処にいるなんて、何かあったんですか?春日さんは、もう帰ったんですよね?」

「いや、何でもねえよ」

鎮真はそう返して窓を閉める。

「それより、どうした」

「海斗から連絡がありました。この前考えた方法で乗り込むのならば、次の週末が良いだろうと」

「……だろうな」

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