狂った針が時の記憶を刻む.14


「春日!」

不意に名を呼ばれ、はっと顔を上げる。

「春日さん、無事ですね?」

振り向くと、鎮真と要が駆け寄って来ていた。

両手で鞄を持ち直し、微笑む。

「はい」

「今のは譲刃司だな。何かあったんじゃないのか」

「いえ。ただ譲刃さんが、今朝の事を謝りに来て下さっただけですから」

「謝りに?」

驚いたように聞き返した要に頷く。

「はい。ですからもう、狙われたりする事は無いと思います。心配して下さって有り難うございました」

鎮真はしばらく舞夜を見詰めた後で、軽く息を吐いて言った。

「……とにかく、春日が無事なら良い」

「君は意外と女性には優しいですよね」

「あ?何だよ。教師が生徒の心配したら悪いかよ」

「そして、照れるとガラがより悪くなると」

鎮真と要のやり取りを見ていた舞夜が、微笑んで口を開く。

「では私は、そろそろ帰りますね」

「一人で大丈夫か?」

「はい。それでは失礼します」

「気を付けて帰って下さいね」

頭を下げて立ち去る舞夜を見送りながら、鎮真が呟く。

「取り敢えずはこれで大丈夫だと良いけどな」

「しかし、譲刃司がわざわざ来るなんて異常じゃないですか」

「まあな」

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