崩れ出す砂の城.04
「仕事をさぼってるところを見付かっちまったな」
舞夜は苦笑を浮かべる鎮真を見詰めて尋ねた。
「お疲れですか?顔色が優れないようですけど」
「……よく気付くな、お前」
驚いたように言ってから、ふっと息を吐く。
「少し、夢を見てた」
「夢?怖い夢ですか?」
「怖いというか、哀しい夢だな」
そう呟いた鎮真は、いつもとは違う何処か寂しげな微笑を浮かべていた。
その瞳も、静かに深く沈んでいる。
ああ、こうしていては。
こうしていては、届かない。
舞夜は思わず鎮真の手を包むように握った。
「……春日?」
「大丈夫です。どんな夢も、本当ではありません。どんな夢も……覚めたら終わります」
自分より小さな手の温もりに、錯覚しそうになる。
まるで本当に。
本当に、覚めたら終わりなのだと思えそうで。
けれど、同時に尋ねたくなる。
彼女の瞳の真剣さに。
どうしてそんなに必死なのかと。
「春日……」
言い掛けた時、不意に犬の鳴き声がした。
舞夜が手を離し、慌てて振り向く。
「あ、さっきの……!遊びに来たんですね」
黒い犬はもう一度鳴くと、鎮真にじゃれついた。
「こら待て、レオン。今俺は昼寝中なんだよ」
鎮真がそう言っても、犬は気にせずにしっぽを振っている。
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