揺らめく海の都市.05


「それで、俺に何か用事だったのか?」

「あ、そうでした。推薦で入ったからにはレポートの発表会などに出なくてはならないらしくて、そのテーマの相談をさせて頂きたいと思ったのですが」

転入初日から真面目な事である。

「ああ、分かった。これでも、一応教師だしな。だが、この街に慣れるだけでも結構大変なんじゃないか?」

「うーん、やっぱり少し変わっていますね。でもこうして過ごしていると、とても海の上の都市だとは思えません」

この街、シードジェスは海の上に造られた都市だ。

地球の温暖化により海面が上昇し、いずれ人が暮らす土地が無くなってしまうかもしれない。

それを懸念した政府による計画都市だ。

この計画の為に発足した都市庁と呼ばれる機関が実権を握り、都市を管理している。

海の上に出来た箱船のような形の都市は、完全に外とは切り離されている。

気候や景色まで管理され、快適に暮らせるようになっている。

現在、試験的ではあるが人々が移住して生活をしている。

住人は全員が身分を証明するカードを持ち、それにより全てのデータが管理されていた。

そしてこのシードジェス学院は、この都市で唯一の教育機関だ。

初等部から大学院まで全てが集まり、中等部から選択可能な幾つかの学科は全てトップレベルの実力を誇る。

音楽ホールや実験室などの設備も充実し、優秀な生徒を育成する事に力を注いでいる。

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