崩れ出す砂の城.05
「このワンちゃん、レオンっていう名前なんですか」
「ああ。いつの間にか学院に住み着いてな。餌とかやってたら妙に懐きやがって」
「じゃあ、先生が名付け親なんですか」
驚きながらも手を伸ばし、レオンの頭を撫でる。
「宜しくね、レオンちゃん」
その横顔を見詰め、鎮真が低く呟く。
「……そうしてれば、歳相応に見えるな」
「先生?」
視線を感じたのか、こちらを見た舞夜と目が合った。
その漆黒の光を宿す瞳へ微笑を返す。
「いや、元気そうで良かったと思ってな。お前、今日の授業は珍しく上の空だっただろ」
舞夜はレオンを撫でていた手を止めて俯いた。
「ごめんなさい。先生の授業、ちゃんと聞いていなくて」
「構わねえよ。お前は普段が真面目過ぎて、逆に心配になる位だしな」
その時レオンが立ち上がり、走って行ってしまった。
「そろそろ、ねぐらに帰るのかもな」
鎮真はそう言いながら、傍らに落ちたままの本を拾って立ち上がる。
「俺達も場所を変えるか。そろそろ日も暮れるからな」
「え?」
「何か話があるんだろ?」
当然のように言われて、舞夜は慌てて歩き出した鎮真の後を追った。
教師らしくないようで、時々とても教師らしい不思議な人だ。
鎮真の背中を見ながら、鞄を持つ手に力を入れる。
近付く黄昏に背を向けるように、早足で後に続いた。
- 41 -
[*前] | [次#]
しおりを挟む
表紙へ
ページ:
Reservoir Amulet