崩れ出す砂の城.05


「このワンちゃん、レオンっていう名前なんですか」

「ああ。いつの間にか学院に住み着いてな。餌とかやってたら妙に懐きやがって」

「じゃあ、先生が名付け親なんですか」

驚きながらも手を伸ばし、レオンの頭を撫でる。

「宜しくね、レオンちゃん」

その横顔を見詰め、鎮真が低く呟く。

「……そうしてれば、歳相応に見えるな」

「先生?」

視線を感じたのか、こちらを見た舞夜と目が合った。

その漆黒の光を宿す瞳へ微笑を返す。

「いや、元気そうで良かったと思ってな。お前、今日の授業は珍しく上の空だっただろ」

舞夜はレオンを撫でていた手を止めて俯いた。

「ごめんなさい。先生の授業、ちゃんと聞いていなくて」

「構わねえよ。お前は普段が真面目過ぎて、逆に心配になる位だしな」

その時レオンが立ち上がり、走って行ってしまった。

「そろそろ、ねぐらに帰るのかもな」

鎮真はそう言いながら、傍らに落ちたままの本を拾って立ち上がる。

「俺達も場所を変えるか。そろそろ日も暮れるからな」

「え?」

「何か話があるんだろ?」

当然のように言われて、舞夜は慌てて歩き出した鎮真の後を追った。

教師らしくないようで、時々とても教師らしい不思議な人だ。

鎮真の背中を見ながら、鞄を持つ手に力を入れる。

近付く黄昏に背を向けるように、早足で後に続いた。





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