崩れ出す砂の城.06
校舎に入ると、まだ人の多い廊下を歩きながら鎮真が口を開いた。
「俺の研究室に行くか。面談するには丁度良いからな」
「はい。この学院は放課後もいつも沢山人がいますね」
「まあな。中には夜中まで研究する生徒がいるから、学院の施設はいつでも開放してある。その代わり、出入りのセキュリティーは厳しいけどな」
「成程。皆、熱心なんですね」
舞夜が感心して頷くと、前を見たままの鎮真の溜息が聞こえた。
「……どうしたら、そんなに頑張れるんだろうな」
「きっと、楽しいからですよ」
全く迷い無く言い切ってから、自分に聞かせるように付け足す。
「もしかしたら、他の人から見たら愚かに思える事もあるかもしれませんが……。それでも何かの為にひたすらに、がむしゃらに走り続けるのは大切に事ですよね」
何かの為に。
強く求める何かの為に、ただ。
「そうして走っている本人は、楽しいんです。愚かと笑われても、いつか大きな力が生まれるかもしれません。愚かと言われても走り続けたら、ぶつかる壁さえ飛び越えられるかもしれない」
例え勢い任せでも。
いつか、求める何かに手が届くかもしれない。
「……春日って、変わってるな」
「そうでしょうか」
「ああ。勿論、褒めてるんだぞ。海みたいだ」
「海?」
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