崩れ出す砂の城.07


唐突に思える言葉の意味を聞き返そうとした時、鎮真が不意に振り向いた。

「着いたぞ。遠慮しないで入れ」

研究室のドアを開け、舞夜を先に中に入れる。

「あまり片付いてなくて悪いな」

「いえ」

テーブルを挟んで椅子に座ってから、鎮真が口を開いた。

「で、やっぱり発表会の事が気がかりなのか?」

「はい。先生は、やりたい事をやれば良いって仰って下さいますよね。私もそう思うんですけど、やっぱり色々考えてしまって」

やりたい事は一つだけ。

けれど、いざそれをしようと思えば迷いが。

躊躇いが生まれてしまう。

「最近は遅くまで残って準備を進めていただろう。そのまま続けて行けば良いんじゃないか」

微笑んで続ける。

「『 愚かと言われても、いつか大きな力が生まれる』んだろ?なら、大丈夫さ」

先程自分が話したばかりの事を言われて、ふっと気持ちが解ける。

「はい。有り難うございます」

「だが、転校早々発表会の準備に追われるのは大変だよな。友達とか出来たか?」

心配そうな言葉を受け、自然と笑みが浮かぶ。

何も見ていないようで、本当に面倒見の良い人だ。

わざわざ此処へ連れて来たのも、心配だったからだろう。

他愛も無い話をしながら、ふと息をつく。

ああ、こんな時は。

こんな日常は、いつまで続くのだろう。





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