崩れ出す砂の城.09
大学の実験室のドアが並ぶ廊下を歩きながら、自分の額に手を当てる。
『どんな夢も……覚めたら終わります』
深く息を吐き出して、一つのドアを開ける。
「ああ、鎮真。遅かったですね」
既に準備を進めていたらしい要が言った。
「悪いな。海斗はまだか?」
「きっと、また取材か何かで忙しいんでしょう」
ガラス張りの窓の向こうにある装置を示して続ける。
「こちらの準備は終わりましたから、後はあれをセットするだけです」
「上手く行くと良いけどな」
「そうですね」
その時、ドアが開いて海斗が入って来た。
「あれ。二人共、もう来てたのか」
「当然でしょう。君が遅過ぎるんですよ」
「まあ、そうカリカリするなって。今夜もまた長くなりそうだからね。此処へ来るついでに購買で買い出しして来たんだよ」
そう言って、持っていたビニール袋をどさりと下ろす。
「随分沢山買い込んで来たな」
「ああ。店員のお姉さんが親切で良かったよ」
その言葉を聞き、要が困ったように確認する。
「まさかまた購買の店員を口説いて値切ったんじゃないでしょうね」
「別に良いだろ。悪い事してる訳じゃないし」
「そういう問題じゃねえよ。学院内であんまり目立つ動きをするな」
鎮真に諭され、海斗は肩をすくめた。
「お前にだけは言われなくないな、そのセリフ」
そう言いながらビニール袋からコーヒーを取り出す。
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Reservoir Amulet