崩れ出す砂の城.11


「それはともかく、海斗。あれを忘れて来てはいないでしょうね」

要の声に、鎮真は我に返った。

「ああ、勿論。ちゃんと準備してあるよ」

そう言って、海斗が自分の鞄を示す。

「じゃあ俺がセットして来る。今日一日はこの実験室を抑えてるから、気長にやるか」

「教師の知り合いがいると便利だね」

鞄ごと鎮真に渡しながら海斗が言った。

「職権乱用と言いたいところですが、こればかりは仕方ありませんね」

鎮真は二人の会話を背中に聞きながら、装置のある部屋へと入った。

大きな実験装置に近付き、軽く調整してから海斗の鞄を開ける。

中からふたをした試験管を取り出し、装置にセットして二人がいる部屋へ戻った。

「ご苦労様。じゃ、動かすよ」

ガラスの向こうの装置の様子を見守りながら、海斗がスイッチを入れる。

「今のところ順調ですね」

モニターを覗きながら要が口を開く。

「成分分析を始めるぞ」

鎮真は素早くパソコンのキーボードを叩く。

「解析率30、35……。良い感じですね」

「いや、駄目だね。これ以上やると装置が保たないかな。止めるよ」

海斗が真剣な目でボタンを押した。

「やはり完全には解析出来ませんか」

「どうだった?鎮真」

問い掛けられた鎮真は手を止める。

「全て解析は出来なかったが、これまでのデータと合わせてみても俺達の仮説が補強されるだろう。だが……」

「これだけじゃ、あいつらを黙らせるの無理だろうね。中途半端な情報じゃ、犯罪者って言われて逮捕されるだけだよ」

「そうですね。せめて証拠だけでも掴む事が出来れば良いんですが」

要の言葉に、鎮真が椅子に背を預けながら言った。

「証拠なんて幾らでもあるだろう。ただ、全て隠されているだけだ」

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