揺らめく海の都市.06
舞夜が、少し辺りを見回して言う。
「この学院も大きくて迷子になってしまいそうですけど。研究室が沢山あるのは嬉しいです」
「そうだな。とにかく設備は立派だ。学内発表会が行われるホールも中々凄いぞ」
鎮真は笑みを浮かべて軽く息をついた。
「俺で良かったら、いつでも相談に来いよ。たまには教師らしい事もやっとかないとな」
「は、はあ……。有り難うございます」
「だが、どうして俺の所に来たんだ?発表会担当は別の先生だった筈だが」
「その先生を訪ねたら、葉月先生の所に行けと。『いつもさぼっているんだから、たまには仕事をさせてやって下さい』とも仰っていました」
その言葉に、思わず顔をしかめる。
「誰だ、転入生にそんな事を吹き込んだのは。俺はそんなに不真面目じゃないぞ」
「はい、私もそう思います」
真っ直ぐな瞳で言い切られて、鎮真は驚いたように目を見張った。
すると舞夜は、微笑んで続ける。
「だって、困っている生徒を見たら放っては置けない優しい人ですから」
そのまま軽く頭を下げて立ち去る少女を見送り、軽く息を吐く。
何となくペースを乱される、不思議な娘だ。
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Reservoir Amulet