ただ一つ確かなもの.04
約束をした休日、待ち合わせた駅前は賑わっていた。
学院や居住区とは別の地区にある商業エリアは、この都市に住む人の他にも観光客が訪れる。
舞夜はようやく人混みを抜け出して息をついた。
辺りを見回し、噴水の前に鎮真の姿を見付けて駆け寄る。
「先生!ごめんなさい、お待たせして」
「いや、まだ早いぞ。俺が勝手に早く来ただけだ」
並んで歩き出しながら、舞夜が尋ねる。
「あの、大丈夫なんですか?先生が、生徒と休日に出掛けるのは問題になりませんか?」
「バレなきゃ平気だろ。もしバレても、その時はその時だ」
鎮真は全く気にした様子も無く、飄々と続ける。
「さて、何処に行くか。取り敢えず、こんなチケット貰ったんだが、興味あるか?」
差し出されたチケットを見て、舞夜が息を飲む。
「『日本刀〜その歴史と神秘〜』」
「デパートの中の美術館でやってるらしい。女子高生はあんまり興味無いかもしれないが」
「行きましょう!是非とも!」
「……食い気味で乗って来たな」
意外そうに目を瞬く鎮真を引っ張るように、舞夜は歩き出した。
「さあ、早く行きましょう!楽しみですね!」
「あ、ああ……」
大人しく引っ張られながら、チケットをくれた海斗に感謝する。
舞夜と出掛けると何故か知っていた海斗は、意味有りげに笑いながらこれをくれたのだ。
きっと舞夜の趣味も調査済みだったのだろう。
まさかこんなに歓ばれるとは思っていなかった。
色々意外な娘だと、少し前を歩く舞夜を見詰める。
こうしていれば、ごく普通の女子高生で。
何も変わったところなど無いようで。
『私は、間違った事をしたつもりはありません』
時折、驚く程に強く鋭いところを見せる。
一体、本当の彼女は何処にいるのだろう。
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