夢の終わり.07
「この都市が開発される裏で、幾つの犠牲があったかご存知でしょうか。その全ては闇に葬られ、私達の前に晒されるのは都合の良い選択された情報だけです。それでは間違いに気付いた時には、既に手遅れになっているかもしれません。今こそ、この都市に暮らす一人一人が考えてみるべきです。本当に大切なのは、守るべきなのは何なのかを」
聴衆の一人が立ち上がり、止めさせろと叫んだ。
もしかしたら、都市庁の人間かもしれない。
予想外の事態に彼等が慌て焦るのも当然だろう。
今日の発表者のレポートは、全て都市庁のチェックが入っている。
提出されたレポートだけではなく、発表者のパソコンにまでチェックは及んだ筈だ。
彼等は、それ位の事は平気でやる。
しかし今舞夜が手にしているレポートは、彼女のパソコンにあったものとは違う。
彼女はそれとは別に、もう一つ別のレポートを書いたのだろう。
わざわざ、この時の為に。
その事を証明するように、壇上の舞夜は落ち着き払って発表を終えた。
そして怒号を浴びせた者へと一瞬、冷ややかな眼差しを向ける。
それはざわめいた会場を鎮まらせる程の迫力を秘めたものだった。
その後で頭を下げ、落ち着いた足取りでステージから立ち去る。
舞夜の姿が見えなくなると、会場は再びざわめき始めた。
「……ちょっとまずい事になったかもしれませんね」
「行ってあげた方がいいんじゃない?」
要と海斗が真剣な表情で口を開く。
「分かってる。こっちは頼むぞ」
席を立ちながら言うと、二人は頷いた。
「この場は鎮めておきますよ」
「ああ、任しとけよ」
心強い言葉を聞きながら、急いで会場を出る。
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