夢の終わり.08


あんな大勢の前で堂々と都市庁を非難するような発表をすれば、舞夜の身に危険が及ぶかもしれない。

ただでさえ、以前にも目を付けられていたのだから。

今は誰よりも速やかに、彼女と接触する必要があった。

けれど、それは本当は。

舞夜の為ではなく、自分の為なのかもしれない。

走りながら、自分の額に手を当てる。

夢を追い求めて、破れて。

こんな風に人は、痛みを知って行くのか。

幾つもの嘘を積み重ねて。

それでもまだ、諦める事が出来ずに。

彼女が語った事が、胸に飛び込んで来る。

痛い程、真っ直ぐに。

鮮烈な輝きと成って。

危険を顧みず、一体誰に語り掛けていたのか。

『きっと私、誰より先生に聞いてほしいと思うんです』

そんな筈は無い、けれど。

『貴方はずっと、ずっと一人で戦い続けてきたんですね』

『例えば、次に会う時は敵同士だとしても、私はいつも』

(春日。お前は……)

刻み込まれている、忘れえぬ記憶という傷。

思い出す度、今も痛みを覚えるその傷と向き合えば。

そこに、なにを見出すのだろう。

少女である君と、もう一度だけ語らった後。

夢の終わりへ。





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