夢の終わり.09
誰もいない夜の屋上で、一人見上げる人工の星。
夢の終わりを告げる星。
『そうか。何か困った事があれば相談しろよ』
そういえば、此処だった。
初めて二人で昼休みを過ごしたのは。
もう遠い昔のようにも思える。
何気無く、尊い日々。
『俺の生徒に言いがかりを付けるのは止めて頂けませんか』
時折、不穏な影がよぎっても。
『じゃあ、一緒に出掛けるか。たまには息抜きも必要だろ』
心安らぐ時間があったのは本当で。
ずっといつまでも、このままあの日常が続けば良いのに。
そう願ってしまうけれど、それはもう叶わないから。
だから、最後にせめて会いたい。
暖かな安らぎを、微笑みを願うから。
夢から覚めて、残酷な真実と向き合う事になったとしても。
(私は、ずっと貴方を……)
「こんな所にいたのか、春日」
声を掛けられて振り向くと、僅かに息を切らした鎮真が立っていた。
「発表会、お疲れさん。驚いたな、色々」
「そうでしょうね」
いつもと同じようで、何処か違う空気が二人の間に漂う。
鎮真が隣に立ち、手すりに手を置いた。
「……夜の学院って、何か不思議だよな。眠っているような目覚めを待っているような、そんな静けさで満ちている」
「そうですね。まだ人はいるのに、明らかに昼間とは雰囲気が違います」
- 67 -
[*前] | [次#]
しおりを挟む
表紙へ
ページ:
Reservoir Amulet