夢の終わり.10


見える校舎の窓には、まだあちこちに光が灯る。

「このシードジェス学院は変わっているだろう。教育機関を全て一つに纏めて専門の教育を施し、更に競い合わせる事で上を目指させている」

「……いずれ都市庁の優秀な人材ともなれるように?」

「ああ、そういう事になるな」

鎮真は舞夜の方へと目を向けた。

「そしてお前はその殻を破る為に、此処へ来たんだな。お前みたいな奴は本来、こんな閉ざされた場所じゃない……開けた所が似合う。こんな所に、お前は来てはならなかった」

「ですが、来てしまいましたから」

誰もいない屋上、二人の世界で見詰め合う。

互いの深いところを探り合うように、目を逸らさずに。

「どんな罪を重ねても、選んだ道を戻る事は出来ません。ならば、その先を見届けなくては」

「……お前はもう、選んだんだな」

「はい。私は選びました。だから今、此処にいる」

舞夜は微笑んで続ける。

「私の言葉は、貴方に届きましたか?」

その言葉に、鎮真は微笑みを返した。

「刻み込んだのは、他ならぬお前だろう」

傷は今も、繰り返し熱く体を苛む。

「お前は俺に会いに来たんだろう。その為に、此処へ来たんだろう」

「……はい。ずっと貴方に会いたかった」

鎮真は手を伸ばし、そっと舞夜の黒髪に触れた。

「そうか。俺もお前に会いたかったよ」

切なく胸を掻き乱す存在。

意図的に、ずっと閉ざして来たけれど。

今もこんなにも。

さらさらとした感触に、胸が張り裂けそうになる。

会いたかった。

会わなくてはならなかった。

会えるなら。

けれど。

全てを見透かす瞳が、温もりが怖くて。

いつか終わると知っていながら、らしくなく惜しんで。

彼女との想い出を作ろうとしてみたり。

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