揺らめく海の都市.08


「まだ、大丈夫です。もしかしたら、まだ」

人工の夕日、その美しさに目を細めて、舞夜は呟いた。

それから、握った自分の手へと視線を移す。

もしもまだ、どんなに曖昧でも可能性があるならば。

絶対に諦めはしないから。

一見すると何の入り口か分からない程立派で巨大な校門をくぐり、外へ出た。

長い階段を降りる途中でふと立ち止まり、風になびく髪をそのままに振り返る。

そびえ立つ、巨大な建物。

まるで要塞のようだ。

そしてそれは、この都市にも言える事で。

進んだ科学の結晶ともてはやされるこの都市にも。

不意に足元の階段が無くなったような気がして、再び前を向いて歩き出す。

「……発表会ですか」

何であれ、自分に出来る限りの事をしなくてはならない。

不確かなものにさえ、いつか勝てるように。





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