記憶の海.07
あの日、都市庁の施設内に警報が鳴り響いた。
施設の最深部に何者かが侵入し、シードジェスエネルギーを作り出す機械の一部を破壊、更に重要機密が入ったディスクを盗み出して逃走した。
長官からその侵入者を追い始末するようにとの指示を受け、司と共に追跡した。
そして都市の最上部にある展望台まで追い詰めた時、初めて向かい合ったのは。
「……お前は」
数日前の夜、この場所で会ったあの少女だった。
どうしてこんな場所で、こんな形で。
考えている間に、少女は強い瞳で手に持った銃を構えた。
「私は都市庁研究者の娘、マイヤ・セレイン・ジェス。止められるものなら止めてみて下さい。ただし、楽に始末出来ると思ったら大間違いですよ」
「……っ」
「シズマ、どうした?」
司に訊かれ、ゆっくりと銃口をマイヤに向かって上げる。
「無謀だと分かっていただろう?都市庁の施設に忍び込んで、無事に逃げ切れる筈が無い」
「分かっています。無事に逃げるつもりなんて、始めからありませんから」
その瞳は揺らがない。
『次に会う時は敵同士だとしても』
こうする事を、こうなる事を分かっていて尚。
「私が死んでも、目的が果たされるならそれで良い」
痛い程に真っ直ぐに見詰めて来る瞳。
もう戻れない。
動かない。
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