記憶の海.15
シズマは微笑んで隣を歩くマイヤの頭に手を乗せる。
「そんな顔するな。お前と同じ、俺も選んで此処にいる。悔やむ事なんて、俺には許されない」
「シズマさん?」
見上げた横顔は厳しかった。
いつも隠している、真剣な瞳。
いつかも見た、あの表情。
マイヤがそっと自分の胸に手を当てた時、不意に声を掛けられた。
「ああ、戻りましたね」
「え、翡翠先生!?」
要はマイヤの方を見ると、軽く息をついた。
「話を聞いただけでは信じ難かったのですが、本当だったんですね」
その視線に、マイヤがすっと背筋を伸ばして頭を下げる。
「初めまして。マイヤ・セレイン・ジェスと申します」
「シズマからある程度事情は聞いていますよ。改めて宜しくお願いしますね、マイヤさん。部屋は沢山余っていますし、ゆっくりして行って下さい」
「……はい?」
顔を上げたマイヤが目を見張った時、更に奥から一人出て来た。
「駄目だよ、要。女の子を誘う時はもっとはっきり言わないとね」
「広瀬さん!?」
海斗は何も変わらない様子で笑顔を向ける。
「こんにちは、マイヤちゃん。要は『此処は僕の家ですから一緒に住みましょう』って言ってるんだよ」
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