一人よりも.04
「暴れてた?」
「ああ。今よりもっと若い頃だけどな。夜な夜なバイクとかを乗り回してたんだ」
マイヤは益々目を見張った。
「シズマさんはともかく、要さんもですか?」
「……お前も正直だな。まあとにかく、あいつはあいつで良い家に生まれた葛藤とか抱えているんだろう」
自分が開発者の息子である事を重く感じでいたように。
彼には、彼なりの。
「昔、真面目にそんな話をした事もあったな。ま、そんな時を経て今がある訳だ」
「……そうなんですか。皆さん、色々な立場や悩みを抱えていらっしゃるんですね」
しみじみと呟いた横顔を見て、シズマが感心したように言う。
「その点、お前は立派だよな。俺と同じ開発者の子供なのに……。よく荒れたりしないで真っ直ぐ育ったよな」
「そんな事無いですよ。都市庁に喧嘩売ったり、自分のデータを偽造したり。それなりに悪い事してると思いますけど」
「だが、お前の真ん中はいつもぶれてないよな」
微笑んで、マイヤの髪に触れる。
「そういうとこ、眩しい位だ。憧れるよ」
「シズマさん?」
よく聞き取れず視線を向けたマイヤに、廊下の先を示してみせる。
「ほら、あそこを出れば庭だぞ」
「あっ、本当ですね。いなくなってないと良いんですが」
外に出ると子犬はマイヤを待っていたのか、先程と同じ場所で座っていた。
二人を見て、嬉しそうに駆けて来る。
「待っていてくれたんですか?良い子ですね」
「初めて見る犬だな。俺に見せたいって言ってたのは、こいつの事か?」
「はい。シズマさん、犬が好きですものね」
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