一人よりも.05


そんな事を言った覚えは無い。

しかし、その気持ちは嬉しいと思う。

「何処から入ったんだ?迷子か?首輪はしてないが……」

しゃがみ込んで問い掛けると、子犬はしっぽを振りながらじゃれて来る。

「すぐに懐きましたね。可愛いです」

「まあな。可愛いな」

シズマはそこでしばらく考えてから、再び口を開いた。

「じゃ、名前はコマイにするか」

「どうしてコマイなんですか?」

「大きな瞳とか、お前に似てるだろ。毛の色とかも、何となくお前っぽいし」

「……はあ」

シズマは妙に満足気に頷いている。

「要に飼わせてもらえるよう、頼んでみないとな」

「ええ、そうですね」

同意してから、マイヤは微笑んで続けた。

「シズマさんは、可愛いものが好きなんですね。顔がほころんでいますし」

「そうか?……まあ、そうかもな。可愛いものとか、自分より小さくて弱いものとか、守りたくなる」

真剣な顔でマイヤを見詰める。

「守らなきゃな、今度こそ」

「え!?私ですか?」

「前は傷付けるしか出来なったが、今度は守らせてくれるか?」

守りたい。

どんな手を使っても。

その為なら、きっとどんな事もするだろう。

もう二度と、失いたくはないから。

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