29
「…………」
青年は答える気は無い様子で、ちらりと地に倒れた怪鳥とその子供を見やった。
それを肯定と受け取って、思わず呟く。
「凄い、強いんだな」
「……お前とは違うからだ」
突き放すように青年が口を開いた。
「何が?」
「俺には傷付く心が無い」
それが自身に関わるなと告げる言葉と感じ取りながらも、湧碕はそうしなかった。
向けられる瞳は限り無く冷たく、下手したら自分まで殺されそうではあったが。
その奥底に深い哀しみや孤独も眠っていると、何となく分かったからだ。
これが、後に静嵐という名だと無理矢理聞き出した彼との出会い。
湧碕が彼の親友を自称し、どんなに素っ気無くされても構うようになった切っ掛けである。
- 29 -
[*前] | [次#]
しおりを挟む
ページ:
Reservoir Amulet