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「…………」

青年は答える気は無い様子で、ちらりと地に倒れた怪鳥とその子供を見やった。

それを肯定と受け取って、思わず呟く。

「凄い、強いんだな」

「……お前とは違うからだ」

突き放すように青年が口を開いた。

「何が?」

「俺には傷付く心が無い」

それが自身に関わるなと告げる言葉と感じ取りながらも、湧碕はそうしなかった。

向けられる瞳は限り無く冷たく、下手したら自分まで殺されそうではあったが。

その奥底に深い哀しみや孤独も眠っていると、何となく分かったからだ。

これが、後に静嵐という名だと無理矢理聞き出した彼との出会い。

湧碕が彼の親友を自称し、どんなに素っ気無くされても構うようになった切っ掛けである。





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Reservoir Amulet