35


手のひらに乗せた漆黒の羽は今も尚、艶やかにそこに在る。

静嵐と出会った時に舞い降りて来た物を、無意識の内に掴んでいて。

後になって何なのか考え始めた。

そして幼い頃に見せてもらった、昔の本の挿し絵を思い出した。

もう原型も留めていないようなぼろぼろの本を、流れる時の中で残っていた僅かな本を、人々は心の拠り所として大切に保管している。

その内の一冊に、似た形をした物の絵が描かれていた。

それが何かという事も。

記憶も既に曖昧で、はっきりとは分からない。

それでも、湧碕は有り得ない筈の事を信じた。

- 35 -






[*前] | [次#]

しおりを挟む

ページ:



Reservoir Amulet