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手のひらに乗せた漆黒の羽は今も尚、艶やかにそこに在る。
静嵐と出会った時に舞い降りて来た物を、無意識の内に掴んでいて。
後になって何なのか考え始めた。
そして幼い頃に見せてもらった、昔の本の挿し絵を思い出した。
もう原型も留めていないようなぼろぼろの本を、流れる時の中で残っていた僅かな本を、人々は心の拠り所として大切に保管している。
その内の一冊に、似た形をした物の絵が描かれていた。
それが何かという事も。
記憶も既に曖昧で、はっきりとは分からない。
それでも、湧碕は有り得ない筈の事を信じた。
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Reservoir Amulet