神立
予想通り本を読んでいた桔梗は顔を上げ、驚いたように目を瞬いた。
「早いですね」
「桔梗さんが来るので、準備していたんですよ」
紅茶のカップとケーキの皿をテーブルに置く。
「……私、紅茶しか頼んでいませんけど」
戸惑うように見上げる桔梗に微笑む。
「サービスです。折角来て頂いたんですから」
「…………」
僅かな沈黙の後、微笑が返って来る。
「有り難うございます。頂きますね」
受け取って良いのか、しかし断るのも失礼かと葛藤したに違いない。
段々、思考が読めるようになって来た。
「僕の仕事ももうすぐ終わりますから。ゆっくりしていて下さい」
「はい」
笑顔に送られて厨房に戻ると、皆がそわそわして待っていた。
「良い感じでしたね!」
「うんうん、もう付き合ってる雰囲気だった!」
当人を抜きにして、とても盛り上がっている。
- 100 -
[*前] | [次#]
しおりを挟む
ページ:
Reservoir Amulet