神立


予想通り本を読んでいた桔梗は顔を上げ、驚いたように目を瞬いた。

「早いですね」

「桔梗さんが来るので、準備していたんですよ」

紅茶のカップとケーキの皿をテーブルに置く。

「……私、紅茶しか頼んでいませんけど」

戸惑うように見上げる桔梗に微笑む。

「サービスです。折角来て頂いたんですから」

「…………」

僅かな沈黙の後、微笑が返って来る。

「有り難うございます。頂きますね」

受け取って良いのか、しかし断るのも失礼かと葛藤したに違いない。

段々、思考が読めるようになって来た。

「僕の仕事ももうすぐ終わりますから。ゆっくりしていて下さい」

「はい」

笑顔に送られて厨房に戻ると、皆がそわそわして待っていた。

「良い感じでしたね!」

「うんうん、もう付き合ってる雰囲気だった!」

当人を抜きにして、とても盛り上がっている。

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