神立
そう言った声がとても深い気がして、雑誌に改めて視線を落とす横顔を見詰める。
先程の笑顔も今も声も、初めて見るものだったような気がする。
少しずつ少しずつ、これまで知らなかった貴方を知る度に。
感じる事がある。
貴方は心を見せない。
その本当を、いつも隠している。
そんな風に感じるのはどうしてだろう。
「有り難う、桔梗さん。とても嬉しいですよ」
そう言われて、伏せていた顔を上げる。
「本当ですか?」
「ええ。後でゆっくり読ませて頂きますね」
荷葉は雑誌を鞄に仕舞うと、シートベルトを締めながら言った。
「それにしても、これで謎が解けましたよ」
「え?」
「先程、プレゼントの事を訊いて来たのはこの為だったんですね」
納得した言葉に、少々恥ずかしくなりながら頷く。
「は、はい。これまで男性にプレゼントなんてした事なんて無かったので。何を贈れば良いのか分からなくて。職場の先輩は、彼女に貰ったものなら何でも嬉しいと言っていましたけど。でも私は彼女じゃないし……」
「僕は桔梗さんに貰ったものなら何でも嬉しいですよ」
間髪を入れず返され、どうしてか頬が熱くなった。
「あ、有り難うございます」
急に体温が上がったような気がする。
「ではそろそろ行きましょうか」
「はい」
どうにも自分らしくない。
気を引き締めて、意識的に姿勢を正した。
これから妖魔について調査に行くのだから、しっかりしなくてはならない。
まるで誰かが強く呼んでいるような。
胸のざわめきを、今は深く沈めて。
乱されたくないから。
今は降り続ける雨の静寂に耳を澄ませて。
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Reservoir Amulet