神立
調査に向かうのは、守から情報を得た場所だった。
彼は現在事件の捜査で忙しいらしく、先日メールを送って来た。
そこに書いてあった場所に車を走らせながら、怪異の内容を思い返す。
巨大な獣の影のようなものを見たり、同じ場所で不思議な声を聞いたりするという情報だった。
何となく以前守に聞いた情報に似ているし、今回も何かあるかもしれない。
考えながら、助手席に座る桔梗の横顔をちらりと見る。
真っ直ぐに前を見るその眼差しは、先程雑誌を渡して来た時のものとは別人のようだ。
あの時、少しだけ期待が生まれた。
身に過ぎたものかもしれないけれど。
いつの間にか自分の中に生まれて。
時が経つ程に大きくなる、この想いは。
今はまだ伝えられない。
『これからも、私は恋をしないと思います』
そう言い切った、底知れない痛みが。
『無くした時に辛いですから』
まだ届かない、彼女の傷が癒えるまでは。
少しずつでも優しくなって行くまでは。
「この辺りですね」
「そうなんですか?此処って、私の住んでるアパートの近くですね」
「ええ。それにこの辺りには以前にも調査で来た事があります」
その時に見付けていたコインパーキングに車を停め、傘を差して外に出る。
降り続く雨は、一層強くなっていた。
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Reservoir Amulet