秋
何とか説得して止めさせようとしたのに、思わぬ声の強さで返された。
娘は手を伸ばすと、左腕に触れて来る。
戦いの中、妖魔の攻撃に当たって僅かだが傷を負った。
その事を見抜かれていたのか。
あれはまだ、この娘が乱入する前だったのに。
娘は何も言わずに、労るような慈しむような、涙をこらえているような。
何とも言えない眼差しで見上げて、静かに告げた。
「ずっと一人で戦うのは、大変ですよ」
拒まねばならない。
見ず知らずの人間、それも女性を戦いに巻き込むなど。
多少刀が使える位では、太刀打ち出来ない敵もいる。
危険過ぎる。
理性では分かっている。
この手を振りほどいて、立ち去るべきだと。
けれども、何とも形容し難い光を宿す瞳と。
「ですから、私も一緒に戦います」
静かな激情を秘めた声音に、体は心は動かなかった。
動けなくなった。
理由は分からないけれど、捕らわれたと感じた。
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Reservoir Amulet