秋
娘は結崎【ゆいざき】桔梗【ききょう】と名乗った。
そして、どういう訳だか彼女の住むアパートの部屋へと連れて来られた。
そして、何故か傷の手当をされている。
「……痛そうですね」
桔梗は顔をしかめながらも、丁寧に消毒をする。
「この程度、大した怪我では」
「そんな事ありません。血がでているじゃないですか」
包帯を取り出して巻きつつ、叱るように続ける。
「普段は面倒くさがって、ろくに手当もしないんじゃないですか?そんなの駄目ですよ」
「……すみません」
図星をさされて言い返せず、謝罪を口にする。
恐らく歳下の、名前しか知らないような娘に諭されるとは情けない。
「まあ、これからは私がちゃんと手当しますから良いですけど」
桔梗は巻き終わった包帯をしっかりと留めると、微笑んで続ける。
「でも一番良いのは、怪我をしない事ですね。その方が私も痛くないです」
「…………」
「あ、お茶淹れますね」
こちらが何も言わない内に、桔梗は立ち上がって部屋の隅にあるキッチンへと向かう。
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Reservoir Amulet