玉響


側にあった木の幹にもたれ、どれ程微睡んだだろうか。

ふと誰かに呼ばれたように目が覚めた。

夜の静寂に似合わない、激しい空気の動きを感じる。

すぐに太刀を掴んで走り出す。

この気配は間違い無い。

妖魔が現れた。

そして、この空気の流れからして。

しばらく走り続け、やがて視界が開けた。

山の中で、僅かに存在する空間。

その中心ある大きな木を背に、一人の娘が立っている。

細身の刀を構え、向き合うのは巨大な影。

逃げずに戦い、そして持ち堪えていたのか。

たった一人で、妖魔を相手に。

その事実に驚きはしたが、今は考えている場合ではない。

太刀を抜き、注意を引き付けるように軽く薙ぐ。

狙い通り、妖魔がこちらに向きを変えた。

光る目を見据え、薄く笑みを浮かべる。

人を襲うようになったらいよいよだ。

逃がす訳には行かない。

確実に倒す。

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Reservoir Amulet