玉響


そして、目の前に迫っていた腕が視界から消え去る。

息を切らして刀を構える娘と目が合う。

とうに逃げたと思い、すっかり存在を忘れていた。

娘は鋭い殺気を放ったまま、巨大な妖魔の方へと向き直る。

そうだ、今は驚いている場合ではない。

機を逃さず、続いて斬り掛かる。

大地に轟くような、断末魔。

どうと音を立てて倒れた巨大な体へ、太刀を手に歩み寄る。

そしてその中心へと、一気に刃を突き立てた。

まだ幾度か動いた後、妖魔の体は完全に止まる。

視界の中で、腐食するかのように徐々に形を無くして行く。

やがて完全に消えたのを見届けてから、太刀を払い鞘に納める。

それから改めて、立ち尽くしたままの娘へと目を向けた。

淡い月の光を受けて、その姿は夢のように浮かび上がっている。

結い上げた黒髪、こちらを見詰める大きな瞳、微かな風になびく衣。

丈の短い衣と携える刀さえ無ければ、普通の娘と思うだろう。

けれど普通ではない。

放つ殺気に振るう刃、射抜く程に強い眼差し。

それを見てしまっているから。

再び太刀を抜き、娘へと切っ先を向ける。

「……何者だ」

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Reservoir Amulet