玉響
「貴女は一体何者だ?何故妖魔の事や、俺のことまで知っている」
問われて、無意識に姿勢を正す。
こう尋ねられたら何と答えるか、幾つか説明を考えていたのなが。
いざとなると、何も出て来ない。
どんなに上手く説明したところで、この鋭い眼差しの前では全て見透かされてしまう気がする。
結局、しばらく黙り込んだ後でこう答えた。
「色々、ありまして」
「…………」
かなり怪しまれている。
それも仕方無いかもしれないけれど。
上手く誤魔化す事も出来ない自分に溜息をつきながら、更に背筋を伸ばして鋭い瞳を正面から見返す。
「私も、貴方と同じなんです。世界が無へと還るなら、止めなければ。だから妖魔と戦っています。目的が同じなら、協力するのは悪い提案ではないでしょう?」
「何を馬鹿な事を」
先程と同じ言葉が返された。
そして今度は反論する間も無く彼は続けた。
「貴女が刀など振るう必要は無い。妖魔は俺が必ず滅ぼし尽くす
。だから、貴女は在るべき所へ帰れ」
言い切るなり立ち上がった姿を見上げる。
木々の間を通って射し込む月の光を浴びて立つ、その様は。
どうしようもなく胸がざわめく程に。
綺麗で哀しいと思った。
そのまま背を向けて立ち去る彼を、呼び止める事も出来ずに見送る。
ああ、こんな風に。
こんな風に貴方は今まで、一人で戦い生きて来たのか。
そして、これからも。
一人で戦い、生きて行くのか。
- 119 -
[*前] | [次#]
しおりを挟む
ページ:
Reservoir Amulet