玉響


何処か不思議な娘と会ってから、数日が経った。

あれからは特に変わった事も無い。

たった一度、一夜の出会いだ。

もう会う事は無いだろう。

妖魔と戦うなど、娘には相応しくない。

人知れず戦い、そして果てるのは自分一人で充分だ。

明るい日射しの中を歩き、やがて街に着いた。

賑やかに人々が行き交う様子を見るのも、随分久し振りだ。

人が多い所では、妖魔が現れる前兆、怪異についての情報も手に入れ易い。

街の中では昼時という事もあってか、店の呼び込みの声が飛び交っていた。

通りには食欲を誘う良い匂いも漂っている。

その中の一軒の前を通りかかった時、親しげに声を掛けられた。

「あっ、こんにちは!またお会いしましたね」

「…………」

見返すと、もう会う事も無いと思っていた娘が立っていた。

「あそこから一番近い街は此処ですし、目的が同じなら会ってもおかしくないですよね」

「在るべき場所に帰れと言わなかったか」

眉をひそめて口を開くと、桔梗は目を丸くした。

「そんな数日で帰れる距離ではありません」

「目的が一緒と聞いたが。まだ妖魔と戦うおつもりか」

腕組みをして強い口調で言う。

すると桔梗は微笑んで息をついた。

「そうですね。本当の目的は、少し違うかもしれませんけど」

「…………」


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