玉響


「初めまして。水晶と申します。お二人共、宜しくお願い致します」

これまでとは人が変わったような落ち着いた所作に、隣にいる桔梗もすぐに礼を返す。

「こちらこそ。私は桔梗です。宜しくお願い致します」

ほとんど反射的に返したようだったが、その姿は妙に堂々としていて威厳がある。

ただ剣を振り回すだけの娘ではないという事か。

やはり色々と不思議で意外な娘だ。

どうであれ、自分には関係無いけれど。

「まあ、とにかく、飯を食いながら話すか。いつまでも仕事をさぼってもいられんしな」

「そうね」

鬼若と水晶に促され、どういう訳か四人で共に食事をする事になってしまった。

だが、こういう場所で有益な情報が得られる事が多いのも確かだ。

案外無駄な時間にはならないかもしれない。

「それで、貴方がたは二人で旅をしているの?桔梗さんと……」

穏やかに話していた水晶が、そこで言葉を切った。

隣の桔梗は慌てて首を振って否定する。

「いえ。そういう訳ではなくて。今は偶然一緒になって」

それから苦笑気味にこちらを向いた。

「私まだ、貴方の名前も聞いていませんでしたね」

「……そんな事を聞いてどうする」

どうせすぐに別れるのだ。

名など聞いたところで何にもならないだろう。

「名は大切なものだからな。呼ばれてその名が音になるだけで力になるものだ。此処で名乗るのも、悪い事ではあるまい」

「そうね。是非教えてほしいわ」

「お願いします」

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